窓の向こうに
ぽっかりと山がのぞいてる。
山、おはよう、
今日も暑いね、
ことあるごとに話しかけてしまいそう。
空が近くて、清々しい。
鳥のようには飛べないけれど、
同じ目線の開放感は味わえる。
そもそも、
テナントビルの上階に住むというのは、
もうそれだけで、けっこう楽しい。
1階の学習塾に通う小学生も、
2階の事務所のスタッフさんも、
4階までは、あがってこない。
この、ちょっと、秘密めいた感じ。
それから、ちょっと空に近いこと。
ささやかな特別感。
1990年うまれの34歳。
お隣の重厚感ある「ハウスパティオ」よりも
少し若くて、クールな印象。
コンクリートに切り込まれたガラスが
光を通過させ、浮遊感を与えている。
竣工当時、さぞやかっこいいビルだったろう。
いまでは、時の経過で哀愁が加わり、
また別の味わいが増してきた。
中庭を囲う型のアパートメントには
いつだって心おどる。
別に何に使うってわけじゃないんだけど、
この余白に、わくわくしますよね。
そんなこんな、
いろいろ相まって、
ここに住めることが嬉しい。
居室は
ちょっと武骨でかっこいい
コンクリートブロック。
さあ、
さっそくこの場所に、
自分だけの小さな居城を構えよう。