アーチの額縁。

 

空広っ。

 

ずっと前から気になってたんです。

前を通るたび、

ここからの景色は

どんなものなんだろうって。

 

このあたりは、

京都タワーと同じくらいの高さって

昔、聞いたことがある。

本当かどうかは分からないけど、

ここからの景色がそれを物語ってる。

こんなに遠くのほうまで、

京都をみることなんて

滅多にないんじゃないかな。

 

遠くのほうに、ほら。

よーくみてみて。

見つかりましたか?

ちいさくみえる京都タワー。

(すごく頑張ってズームした

写真をのせておきますね。)

 

スカッと晴れた今日なんか、

気持ち良すぎやしませんか。

 

お部屋はいたってシンプルだけど…

いや、

シンプルだけど、

だだぴろいんですよ。

L字型になった17帖もある洋室。

クローゼット側にベッドを置いて、

玄関前にはお洒落な衝立を置こう。

そうしたら、

いきなり玄関の洋室でも、

なんとかやっていけそう。

 

朝起きて、

遠くのほうを見ながら

伸びをして深呼吸。

モーニングルーティンに

自然と加わる行動。

 

おはよう、

京都タワー。

今日も今日とて背比べ。

404号室

この手で。

 

京都はアートやデザイン、

ものづくりに関わる大学や企業が多い。

中でも、

左京区には美術や芸術系の大学が多数。

 

そういう大学を卒業後、

作家活動に専念したり、

仕事をしながらも活動を続けたり。

やり方はそれぞれでも、

自分の好きなことを貫き続ける。

だけど、それには気持ちだけでなく、

やっぱり環境も必要。

 

「アトリエとハウスは同じ建物で、

空間は分かれていたい」

「住まいは必要最低限でいいけど、

ものづくりのテンションは上げたい」

「たまには語れる仲間もほしい」

 

家主さんが作り手に寄り添ってきたからこそ、

そんな声をひろって、生まれたこの場所。

tede。

 

1Fはアトリエタイプ。

2Fは住居タイプ。

住まいと制作活動が行える場として、

令和4年3月にリノベーションが完成。

この場をつくりあげてくださった、

家主さんも職人さんも

きっと素敵な手をしてる。

この場にかけた想いと時間、

それを肌で感じる。

とてもお心遣いが素敵。

 

1Fアトリエタイプは、

号室によるけれど、

ほとんどは

広すぎず、狭すぎず、

籠るにはもってこい。

煮詰まったら、

ラウンジや外のレンガタイル小道で

大きく息を吸えばいい。

このラウンジには、

個性ある椅子たちと作業机が並んでる。

あとはみんなで使えるキッチンとトイレ。

誰かとたまたま顔を合わせたら、

声をかけてもいんじゃない。

 

2F住居タイプへは、

甲板みたいな階段を上がる。

通路に掲げられた、

風でなびく白い布が帆に見える。

極めつけは船底天井。

どこか船旅をしてるように感じちゃう。

内土間と外土間。

部屋によって違くって、

この土間スペースも

作り手目線で使い勝手が良い。

シンプルに暮らしやすいワンルーム。

 

どちらかを借りても良いし、

どちらも借りたって良い。

tedeでの過ごし方は、

自分次第。

 

いつかの未来。

例えば、ここを後にするひとは

どんな風に思うのだろうか。

 

“本当に好きだった。”

“表現に自信をもてた。”

“驚くくらい楽しんだ。”

 

なんて笑って言いながら、

想いと場所が

次の作り手に渡ってゆくんだろうな。

 

「この手で、またどこかで。」

1階 アトリエタイプ

2階 住居タイプ

ゆるく、繋がる。

 

シェアハウスというと、

入居者同士で

家族のように仲良くなるところもあれば、

ドライな距離感を保っているところもある。

どちらが良いとか悪いとかはありません。

今回ご紹介するシェアハウスは、

たぶん後者のタイプ。

 

場所は東山。

柳の木々が並ぶ白川がすぐ近くを流れ、

高台寺や八坂神社が近くにありと、

いかにも

“京都”って

感じがするエリアである。

 

そして建物も、

縁側が中庭をぐるりと囲い込む、

なんとも日本らしいもの。

お部屋は色んなタイプがあり、

3帖のエコノミーなサイズのもあれば、

10帖の和室+板間といったデラックス(笑)なのもある。

住んでいる人も様々。

学生がいれば社会人もいるし、

男性がいれば女性もいる。

職業や出身地も様々。

だけど全くのバラバラというわけではなく、

リビングにお土産やご飯のお裾分けがあったり、

住民同士はゆるく繋がっている。

そう、

まるでこの建物の縁側が、

お部屋をゆるく、繋ぐように。

B号室(21.04㎡)

E-1号室(6.00㎡)

F号室(11.40㎡)

平面図1F

平面図2F

雨降って地固まる。

 

今は雨が降っているようです。

分厚い雲が流れてゆく。

 

京都市左京区。

北白川東伊織町。

住宅地の中、路地奥にある。

もとは学生アパート。

そこからの転身。

アトリエ付きのシェアハウスへ、

令和2年春に、

晴れてリニューアルオープンした。

 

芸術系大学の学生さんであれば、

授業の課題や自主制作、

コンペ応募に、ポートフォリオ制作など。

大学を卒業して、アトリエを探されている方も是非。

ここなら、

つくることが日常となる。

ここでは、

衣、食、住、創。

 

共用スペースにアトリエと防音室。

アトリエはシンクもあるので、

画材はここで洗える。

防音室でなら音が出る作業も大丈夫。

(もちろん時間制限はありますが…)

柱が空間の仕切りとなって、

解放感があるのに、閉鎖的。

空間のギミックにはまり、

ここにいる間、自分は作品と向き合える。

作品との対話。

話ができなくなったら、

いったん手をとめたらいいさ。

ラウンジで一息しよ。

 

新しくなりつつも、

ところどころに昔の味が残ってる。

通路一番奥の窓であったり、

階段の踊り場であったり、

柱の傷跡、ピンあと、凹み。

見つけて思わず一撫で。

積み重ねてきた年月が、

今ここに。

水回りは男女別で分かれていて、

キッチンスペースも1Fと2Fそれぞれに。

2Fには広いラウンジもあって、

ここでもシェアメイトとの交流を深めて。

あの技法はどうやるの。

あの色は何色を混ぜてるの。

こんなのをつくりたいんだけど、

画材はなにがいいかな。

これを一緒にやってみない?

これからも一緒にやってみない?

創り手たちの交わりは、面白い。

可能性は無限大。

 

でも、

誰だって時にはくすぶってしまうことも。

私も今はそれかもしれない。

だって、手が動かない。

部屋を1階にしたのには理由があって、

それは、

実は1階の方が窓が大きいから。

腰掛けるのににちょうどいい高さにあって、

行き詰って、

何にも出来なくなったとき、

腰かけて壁にもたれて。

ただただぼーっと雲の流れを見てる。

 

あ、雨やんできた。

雲が多いなぁ。

流れがめちゃめちゃ早いなぁ。

雲のカタチの変化って面白いなぁ。

薄い雲間からみえる表現ってどうやろ。

あの部分の青色がいいな。

あとで黄色を少し足してみよ。

隣のあの子は、

まだ頑張ってるんかなぁ。

背中を仰け反り、危うく落ちそうになる。

 

ぼーっとしているようで、

そうでない。

絶対なにかに通じてる。

と自分に言い聞かせておこう。

 

水溜まりに映る空。

いつの間にやら

晴れていた。

 

 

…アトリエ、行こ。

平面図

 

未来へ、ツナグ。

新築当時は、

いわゆる風呂無しアパートだった。

それは時代が求めたニーズ。

しかし、時は過ぎ、

その役割を全うした今、

リノベーションによって、

アトリエやオフィスとして、

アーティストやクリエーターの活躍の場として、

歩み続ける道を選択。

新たな時代が求める姿へ、

生まれ変わった。

 

今回の企画をされた方、設計者、

そして、それを形にする大工さんたちの想いを綴らせていただくと、

詩的(私的)研究所として、お寺のような場所を作りたくなった。

効率や合理性追求への疑問、

人の豊かさや創造性が求められる時代に、

それらの種や根を育てる箱として、

この物件を作る、と。

時代を超えて、創造性が絶えず生まれる畑として、

存在し続けて欲しいと願う、と。

素晴らしいと思います。

そして、きっと、

この想いは未来にわたって、

現実のものとなっていくのではないか、

と思います。

間違いない、でしょ。

 

こんな想いで作られた物件。

素敵じゃない訳ない。

それでは。

広さによって選べる10の個室と、

共用の打合室、シャワー室、トイレを完備。

角部屋は2面に窓があり、

いっぱいの光と、風を取り込む。

1階の床は、土間仕上げ。

外部はぐるりとウッドデッキが囲み、

各部屋の境界には稼働できる柵を設置。

大きな絵画や道具などの搬入の際には、

ここから可能だ。

さすがの気遣い。

 

2階の床は、無垢フローリング。

高い天井には、

大きな梁がその姿を現し、

土壁とともに、

空間のアクセントとなっている。

こんな、

とっても、素敵な空間です。

とっても、気持ちの良い空間です。

 

歩んできた道程は、

建物の記憶の中で、これからも生き続ける。

様々な想いをのせて、

新たな入居者とともに、

まだ見ぬ未来への道を、

歩み始める。

ari01

1階図面

 

2階図面

2階図面