小学生の頃、学校の裏山で秘密基地作りに夢中だった。
その頃の秘密基地は、
こっそり隠れて自分たちだけの世界に浸る場所だった。
けれど、大人になった今、求めるのは
「少しだけ特別」で「少しだけ距離を置ける」
そんな場所。
この物件は、でっぱっている。
撮影のために訪れたとき、
通りに入ってすぐに「ああ、アレかな」と分かった。
下はまるっとシャッター付きガレージ。
所謂、ガレージハウスだ。
車はもちろん、バイクや自転車のガレージにしてもいい。
そこは自由です。
その上の2階・3階が少し突き出している。
これこそが、タイトルの「でっぱり」。
階段を上って玄関へ。
レンガと白い壁、
水色に塗装された玄関ドアが
控えめに可愛らしい。
リビングに入り、でっぱりから外を眺めると、
高さとでっぱり具合が
ツリーハウスみたいでワクワクする。
一面が大きく窓だけど、
北向きなので光の入り方は優しい。
京都の暑い夏にはちょうどいいかもしれない。
南向きのベランダもあるので、洗濯物はご心配なく。
3階の居室は、椅子や床に座ると
上賀茂方面の山の稜線と空の青が美しい。
でっぱっているのに、
少し高くて周囲と目線が合いにくい。
勾配天井が屋根裏部屋みたいで
これがまた、ワクワクする。
大人の秘密基地なんて言い方を
よく目にするけど、
むしろ大人の方が、
秘密基地という言葉が好きかもしれない。