ひだまり。

 

2014年、建築家のオーナーさんが、

自らタクトを振るってリノベーションした、

昭和58年築の分譲マンション。

元々は細かく間仕切られた、ありふれた間取りだった。

そこから生まれ変わった今の姿は、

ほぼ全ての間仕切りを取っ払った、

解放感あふれる大空間になっている。

なんと、26.8帖のドデカワンルーム。

「果てしなく続く」って、

マンションの1室に入って出てくる言葉じゃないですよね?

でも、思わず言ってしまうんです。

「果てしないなぁ~」って。

玄関から床のレベルが同じで、

床は、木目が美しいナラの無垢フローリングが、

東側の壁面には、一直線に棚板が、

ベランダまで続く。

キッチンはコの字型。

コンパクトだけど、使い勝手が良さそう。

洗面台や浴室などの水回りは、

シンプルでスタイリッシュなものをセレクト。

ガラス張りの浴室も素敵だ。

 

ナチュラルなテイストで、

優しい雰囲気。

どこかあったかくて、

心地良くって、

まるで、

ひだまりみたいな空間だ。

このまちに住んだなら。「松ヶ崎疎水」

京都下鴨修学館のあたりから

 

撮影の帰り、車の中で「こういうのって、“風光明媚”って言うのかな?」という話が出た。

個人的には、風光明媚といえば、たとえば嵯峨嵐山のような、ダイナミックな自然景観を指す印象がある。
この松ヶ崎疎水にそれを当てはめるのは、少し違う気がした。

 

泉柳橋

もちろん、ここの桜は見事だ。とても美しい。
でもそれだけじゃない。
もっと身近で、もっと暮らしに寄り添っている。
肩肘張らず、静かにそこに咲いている感じ。
花のある“地元の風景”という言葉のほうが、しっくりくる。

実際、桜を見に何人か人が集まっていたけれど、そのほとんどが近所の人のようだった。
わざわざ遠くから訪れるというより、春の散歩ついでに立ち寄る場所。
観光で疎水を見るなら、岡崎のあたりが有名だし、あとは神社仏閣に行く人も多い。

じゃあ松ヶ崎疎水は風光明媚以外にどう言い表せばいいだろう。
そんなことを考えて、少し調べてみた。

「風情がある」
「趣がある」
「絵になる風景」

うん、どれも悪くない。しっくりはくる。
でもまだ、“これだ”という言葉には出会えていない気がする。
言葉にしようとすればするほど、ちょっと逃げていくものってあるかもしれない。

ジモティー 鴨

ここは、地域のみんなのお気に入りの場所。

このまちに住んだなら。
きっとここを散歩道にして。

松ヶ崎疎水は、たぶん、そういうところだ。

art stay。

 

古くからの街並みと

伝統産業「西陣織」で

多くの人に知られる京都西陣地区。

 

建物のオーナー様は、

江戸時代・安政年間に創業の

「帯屋捨松」。

 

その建物は、

「工芸・技術・美」などの意味を含む

“アート”という単語と、

宿泊の意味を込め、

“アートステイ”と名付けられました。

 

その名に”アート”と

織り込まれているように、

「工芸・技術・美」

を感じさせる和モダンな雰囲気を纏い、

建物内は、まるで美術館のよう。

「帯屋捨松」の作品や製作道具の展示のほか、

京都にゆかりのある

芸術作品にも触れることができます。

 

エントランスに入って正面、

奥の暖簾は「帯屋捨松」制作のもの。

五つに分かれている暖簾は、

五名の織職人による作品です。

エントランス脇や共用階段には、

アーティストの作品が展示されています。

 

そして、最上階の4階。

「上をご覧ください」

などと言うまでもなく、

おそらく皆自然と目を奪われることでしょう。

南座の提灯をも手掛ける

江戸寛政年間創業「小嶋商店」の職人による

“提灯アート”が空間を温かく灯しています。

近年では数少ない、

すべての工程を手作りで行う

「京・地張り提灯」です。

 

「あしらい」

帯屋捨松さんから、

この言葉をお借りしたいと思います。

あしらいもったこの空間で

伝統や文化と共に暮らし、

共に生きる、

京都の想いを紡いでいきます。

 

帯屋捨松 http://obiyasutematsu.co.jp/index.php
小嶋商店 http://kojima-shouten.jp/ 

このまちに住んだなら。「京都に着いた日」

もう10年ほど前のことになります。
大学進学のため、故郷・宮城から京都へ引っ越しました。

両親の手を借りることもなく、夜行バスで11時間。
京都駅に到着し、地下鉄に乗り換えて、大きな荷物を抱えたまま目的の駅へ向かいました。

東北と比べると、随分と暑く感じた日でした。

ぜいぜいと息を切らしながら地上に上がり、1番出口を出たその瞬間。
目の前には、まぶしいほどの青空と、菜の花畑が広がっていたんです。

地下のひんやりとした影から一転、青空の下で風に揺れる黄色の花々。
あの瞬間のまぶしさと安心感を、今でもよく覚えています。

ああ、この街に来てよかった。
そう、自然と思いました。

離郷、見知らぬ土地、なじみのない言葉や文化、はじめての一人暮らし。
寂しさと不安と期待が入り混じっていた胸の内が、ふっとほどけたあの日。

そして今、4月上旬。
新たな暮らしを始めた方も多いことでしょう。
皆さんにも「ほっ」とできる景色との出会いがありますように。

 


(比較的)近くの物件の記事▼

僕がほっとする場所。

 

 

このまちに住んだなら。「木になるおうち KOGA-NORTH」編

”ただの物件好きが縁あって不動産屋さんになってしまった”
という経歴の筆者。
歴史ある京都の街で新旧いろいろな物件に出会うのが
なにより楽しみな今日このごろです。

私の好みをよく知る広報担当の先輩が

「あそこの物件、好きそうですよ~」

なんて耳打ちしてくれた時なんか
うきうきしながら取材に出かけます。

—–

そんな感じで最近訪れたのが「KOGA-NORTH」(コガノース)。

(今は満室になっているのですが、とっても素敵なので紹介させてください…。)

KOGA-NORTH

見てくださいもう可愛いじゃありませんか。
入口で木が出迎えてくれる平屋のアパートなんて。

 

玄関扉の覗き穴がこれ!
レトロパーツ好きの心を盛り上げます。

中は小綺麗にリフォームされてあり、
単身者用のお部屋2つに分かれています。
木のぬくもりが感じられるシンプルなお部屋です。

お庭にも木が!柑橘類が実ってる!
実のなる木ってほんとに可愛いですよね…(ため息)
窓からのやさしい日差しを浴びながら
こんなお庭を眺めることができるなんて
なんて素敵なお部屋でしょうか。

—–

ここはお茶やお庭で有名な「大徳寺」のすぐ近所で
表へ出て1分も歩けば、土壁に瓦が埋め込まれた
築地塀(瓦塀)に出会えます。

塀をたどって大徳寺の境内をお散歩してもいいし、
今宮神社やあぶり餅もすぐ近くです。
ご近所をぶらぶら歩いてみてください。
魅力的なものがたくさん発見できますよ!

※物件に夢中で築地塀の写真を撮り忘れたので、最後の1枚だけお借りしました。

楽しいは連鎖して。

 

京都市街までちょっと遠い。

駅もそこそこ離れてる。

でもそんなことは、いいんです。

この空間、

眺望、朝日、山々の美しさ、

それがもうプライスレス!

 

山科区・清水焼団地町の

分譲マンションの一室。

各ジャンルのプロたちが

秘密基地に集うように、

技術やアイディアを持ち寄って

つくりあげた空間。

 

どんな議論の末こうなったのか、

どんな職人さんが作ったのか、

知らなくても、

ついにんまりしてしまう。

オーナーさんから

設計士さんや職人さんへと

次々に連鎖してきた

つくる楽しみは、

これから、住む楽しみへ。

どんなふうに暮らそうか、

考えるだけでも楽しいな。

 

とにかく、まずは

内覧してください!

この改装プロジェクトに

関わった皆さまの

こだわりや愛情、遊び心、

隅々まで詰まっています。

ぜひぜひ見に来てくださいね。

Simple is best.

 

Simple is best.

って、

”もうこれ以上削るものがない”

状態のことだとか。

 

取材でここを訪れて、

”玄関”というにはあいまいな境界で

シューズを脱いで顔を上げたとき

 

目の前に広がるスカッと白い空間に

「あら、なんにもない。」

って思わず声が出てしまった。

 

リノベーションによって

真ん中にあったゾーニング(区画)を取り払い

さえぎるものが無くなった空間。

 

この「なんにもない」空間こそが

「KAWARAMACHI PLACE」201号室の

素晴らしいところ。

 

ひんやりとした白壁にかこまれて

ラグだけ敷いて寝転がってもいい。

天井も真っ白だから

邪魔するものは何もない

ただただ集中力を高めて

案を練るもよし。

簡素なテーブルを置いて

作業に没頭するもよし。

 

そしてふと気持ちが途切れた時に

窓のブラインドを上げれば

パッと黄色い隔板が目に入り

一気に気分の切り替えができる。

 

お向かいがお寺なのもイイ。

窓から見えるのは、京都の日常。

瓦屋根の趣にホッと一息。

すみっこの小さいキッチンは

コーヒーを淹れるぐらいならちょうどいい。

 

これ以上ないほど削られて、

残ったものが本当に必要なもの。

Simple is best. だからこそ

なにを加えるかはあなた次第。

 

駅近なのに街中の喧騒から少し離れた立地が

ワークスペースやセカンドハウスにおすすめ。

近所に銭湯やコインランドリーがあるので

住居としてゆったり使うのも素敵かも。

 

ちなみに5階の北側がルーフガーデンになっていて

ハーブがわんさか植えられている。

ここも素敵なポイントなので

内覧されるならぜひ見に行ってみて。

 

心解く。

【一言では訳せない言葉】

というのは世界中の言語にある。

例えば、日本語なら「わびさび」とか。

 

この部屋のテーマは、Hygge(ヒュッゲ)という単語。

北欧の、とくにデンマークの言葉として知られている。

 

―― Hyggeとは、

 

例えば冬なら、キャンドルを灯した部屋で

暖かい飲み物を入れたマグと、

肌触りの良いブランケット。

 

夏なら、木漏れ日がきらめく中で

ピクニックやバーベキュー

氷がカランと鳴るタンブラー。

 

そして大切な人と、穏やかな会話をする心地よさ。

そんな感覚のことを言うそうだ。

 

北欧の長い冬、部屋で過ごすことの多い環境で

自然と生まれた言葉かもしれない。

 

日々の忙しさから離れた、人生の中のささやかな幸せ。

穏やかで、暖かな幸福感。

それを大切に、大切に包み込んだ言葉。

 

外国語で一言に訳すのは難しいけれど、

皆、この感情には覚えがあった。

それで今日には、Hyggeは世界に広まった単語となった。

 

そしてここ、太秦にもHyggeを一粒。

 

白を基調とした北欧テイストのインテリア。

居心地の良い空間のために、こだわりを散りばめた。

 

シンプル・モダンでいて、どこか懐かしい。

 

お気に入りの本を読みながら過ごす時間、

キッチンで丁寧に淹れたコーヒーを味わう瞬間。

 

何でもないような日常が、こころをほどく。

 

さわやかな風そよぐ。

最近ね、

ちょっとディープな物件も多かったから、

今回は一転。

心にそよぐ、さわやかな風のような、

かわいい物件をセレクト。

 

「プチ」リノベーション、

っていう表現がしっくりくるお部屋。

床をパインの無垢材、

キッチンはシンプルなものに変更。

お風呂やトイレはそのまま。

洗濯機だってベランダ置き。

で、

一番の魅力は、

壁一面に設置した可動棚。

本棚として使ってもいいし、

雑貨とか観葉植物とか、

好きなものをディスプレイしてもいい。

一部は、デスクとしても使えるように出幅もある。

そう、毎日の暮らしに、

ちょっとした楽しみを持って住んでもらいたい、

そんな想いから作ったお部屋です。

 

ねっ、さわやかでしょ。

肩ひじ張らずに、

しなやかに住める、

「プチリノベ」物件。

いいんじゃない。