たとえばライブを見に行ったときなんかに
素晴らしい演者に出会ったりすると
頭がカーッと熱くなって
ああ、すべてを捨ててでも
この人に人生をささげてみたい!
みたいな。
そんな気持ちになることないですか。
この物件を訪れたときの私は
まさにそんな状態。
うわーッ!!!
出会ってしまった…!!!
かなりいい…!!!
無骨に見えるのに実は
計算されつくされている洗練さ。
ギリギリまでそぎ落とされたデザイン。
心をわしづかみにされた。
どんな理想の空間を描いたとしても
ガッツリ受け止めてくれる
懐の広さを感じた。
条件とかどうでもいい。
この部屋と人生を共にしてみたい。
大げさだけど
人をそんな気持ちへ至らせるに
充分な熱量が宿っている。
それがこの「太陽マンション」だ。
ここを建てた当時のオーナー夫妻は
日本が大きく変化した時代を生き抜いた人たち。
完成は昭和41年。
引退後の生活を見据えて建てられたともいわれる。
そこから約60年。
その一番新しい系譜に
このマンションを再生した人がいる。
マンションの来歴をしっかり受けとめて
他にどこにもない物件を。
好きなものに真剣な人が妥協しなくていい物件を。
とことんこだわった家具と暮らせる物件を。
そんな情熱をもって再生した人。
これらの部屋からはそのたぎるような思いが
冷たいコンクリートを介してビシビシ伝わってくる。
人の情熱は、人の心を動かす。
ただただもうかっこよくて
夢中で写真を撮った。
洗練されたマクロ視点での魅力が働いて
リノベーションで残された古い部分が
水を得たように輝いているのも印象的。
ドア、ガラス、窓、パーツ。
古くからこの部屋を見守ってきたものたち。
もう!シッブイ…!! 大好き。
そしてそこへ
あとから備え付けられたコンロやコンセント
電球なんかが絶妙に合わせられ
小粋に調和している様よ!
こんな場所が存在してくれてありがとう…。
出会えて嬉しい…。
最後は感謝に近いそんな気持ちになった。
三者三様、個性があるので(撮影時点での空きは3部屋)
ピンと来たところを選んでほしい。
60年経って、生まれ変わったこれらの部屋。
歴史の続きはここに構えるあなたがどうぞ。
「太陽マンション」は静かに出会うべき人を待っている。
過去と未来への情熱をはらんで。