トンガリ現場体験記⑤「上棟式」
- #工事現場
“一生に一度、経験できるかどうか”
そういうレベルのものだったのかもしれない。
今回の現場体験記は、なんと「上棟式」!
筆者、これまで何度も取材にお邪魔させていただいたのだが、
ついに上棟式にまで参列させていただけることに…!
(い、いいんですか…?!ほんとに?!)
しかし、そもそもが「上棟式って何?」って知識レベル。
ネットで調べてみたところ、
家の骨組みが完成し、
棟木(家の一番高いところ)ができたタイミングで迎える、
家づくりのひとつの節目の儀式
のようなことが書いてあった。
これまでの工事を無事に終えられたことを祝い、
今後の工事の安全を願う意味があるそうな。
コンクリート打設とはまた別の一大イベントじゃないか!
しかも、
「最近は、ほとんど上棟式は行われないのに、
ビックリするほどしっかりした内容で開催される」
と関係者から聞いた。
終了後の話になってしまうが、
こういった経験が豊富であろう建築家や関係者のみなさんが
「ここまですごい内容の上棟式は初めて」
と口々におっしゃっていたので、
だいぶ珍しいものだったようだ。
筆者は上棟式自体が初めてだったので、
すべてが目新しく、大変エキサイティングな体験となった…!
キリッと空が澄んだ冬の12月吉日。
現場へ到着すると、シートに包まれた建物の入口部分に、
紅白の幕がかけられていた。
“ハレの日”といった様子で、なんだか素敵。


建物の上にはクレーン。青空に映える。
続々と集われる関係者のみなさん。
静かな高揚感が漂っていた。
筆者は記録係の一員として、建設会社の方と先に会場へ。
会場は最上階の5階。
前回は足場階段で上ったけど、今回は完成後にも使われる実際の階段で。
まだコンクリートむき出しの階段だったが、グッと完成の気配が感じられて嬉しい。
—
会場へ到着すると、
紅白や青白の幕に囲まれた空間に、
立派な祭壇が準備されていた。
おぉぉ…!とっても豪華!
おもち、昆布や鯛、果物や野菜、お塩や酒、などなど。
自然界の恵みを広くそろえて供えられているそう。
紙垂(“シデ”と読む白い紙)がついた棒や、鈴もあった。
いずれも儀式で場を清めるために使うものらしい。
—
開始時刻が近づき、参列のみなさんも次々に会場へ。
会場入口のところに「手水」が用意されていた。
神社に入る前と同じように、手を清めるためのものだ。


お子さんたちも順番に手水。かわいらしい。
参列者全員が会場に入った後、
最後に神職さんが入場され、いよいよ上棟式の始まり。

神職さんは二人おられた。
式次第を拝見すると、このような感じ。
一、修 祓
次 降神の儀
次 献饌
次 祝詞奏上
次 棟木祓の儀
次 玉串奉奠
次 撤饌
次 昇神の儀
日常生活にはなじみのない言葉ばかり。
どんなことが行われるのだろうか。ドキドキ!
—
神職さんが、先ほど祭壇に置かれていた紙垂のついた棒を振り、修祓をされた。
この棒は「祓串(はらいぐし)」というらしい。
よく見ると、榊と紙垂の両方がついている。
—
次に、神職さんが祭壇に向かい、
大声で叫ばれ、降神の儀が始まった。
「おおおおおおおーーーーー…」
神様を呼ぶ声らしい。
小柄な神職さんの体から、想像もつかない声量と気迫で、
空気がビシビシと震えた。
す、すごい…!
長く務めてこられた方ならではの凄みがある。
—
そして、献饌(お神酒などの入った徳利の蓋をあける儀式)、
祝詞奏上(神様への報告とお願い)が行われた。

徳利の蓋を開けてお供え物をささげる。
—
続けて、清め祓いという儀式が行われた。
一人の神職さんが「祓串」を振りながら、
もう一方が「切麻(きりぬさ)」と呼ばれる小さな四角い紙を会場の四隅に撒いていく。
会場の隅を順番に清めた後、
神職さんお二人は1階の入口に移動して、同じように清め祓いをされた。
「切麻」を撒いたあと、会場へ戻られた神職さんは、
次にお米を手に取り、祭壇に撒かれた。
祭壇へ向けてお米を撒いた後、
会場へ向き直った神職さん、参列者に向けてもお米を撒かれた。
お米が顔などに当たって、笑顔が広がる会場。
厳かな神事の最中で、空気がやわらかくなる一時だった。

お米が顔や体に当たることで、福がおすそわけされるらしい。
ユニークな儀式にひとつひとつ意味が含まれていて、とても面白い。
—
そしていよいよ、棟木祓の儀。
上棟式のメインイベントとも言える儀式だ。

神職さんから施主さんへ手渡された棟木は、
建設会社によって建物の中心の高い位置に設置される。
無事に棟木が上がった!
大きな節目を迎えた瞬間だった。
—
そして、玉串奉奠。
榊の枝に紙垂がついた「玉串」を神前に供えて、
敬意と感謝、祈りの気持ちを表す儀式だ。
神職さんに続いて、
施主さんやご家族、建物管理の会社、建築家、建設会社…と
順番に「玉串」を神前に供えていかれた。

余談だが、施主さんのお子さんが「自分もやりたかった!」と大泣きしておられ、
神職さんのやさしい心遣いで、再度「玉串奉奠」される場面があった。

小さくて大きい玉串奉奠
きっとこの子の成長を、
この建物とともに、多くの人が見守っていくのだろう。
そんな未来を想像させる素敵な一幕に、思わず笑顔になってしまった。
—
最後に神職さんが徳利に蓋をする撤饌があり、
鈴が鳴らされ、昇神の儀がなされた。
場の空気がすっと静まり、上棟式が滞りなく終了した。
—
…これが「上棟式」か!すごいな!
圧倒されていた筆者だが、この後さらにすごいイベントが。
入口に紅白の幕がかかっていたのが「やぐら」で、
そこで散餅散銭の儀というのが行われた。

散餅散銭の儀
この日、なんと「番匠保存会」という方々が来られていて、
「木遣り歌」という大工(番匠)に伝わる唄が披露されたのだ!
柱を立てたり棟を上げるときの掛け声が起源だそうで、
建物の完成と安全を願う意味があるお祝いの唄だ。
(こんなの生で見られるなんて!)

番匠保存会のみなさん

拍子木が小気味よく響く。
そして、施主さんご家族が“やぐら”に上がり
次々とお菓子を投げられた。

力いっぱい投げる!

お菓子が投げられるたびに歓声があがる。
昔はお餅をまいていたらしいが、
今回は現代風にお菓子でのお祝いとなった。
この儀式はいわば“しあわせのおすそわけ”の時間。
上棟の喜びを、みんなで分け合うためのものらしい。
ご近所からもたくさんの方がお祝いに集われ、
とても賑やかな雰囲気。
子どもから大人まで、あふれんばかりの笑顔で
お菓子を受け取る姿が印象的で、
めちゃくちゃ素敵な締めくくりだった。

—
この後、「直会(なおらい)」という会食の場が設けられ、
筆者も立派なお弁当をいただき、ねぎらいを受けた。
とてもいいお酒を勧めていただいたのだが、
酔うと大変なことになりそうだったので、
今回はぐっとこらえて丁重に辞退……。
—
こうして上棟式はすべて終了し、
筆者は関係者と共に帰路についた。
みんな気持ちはホクホクし、
口々に「すごかった」と言いあっていた。
貴重な経験をさせていただいて、
感謝と喜びでいっぱいだ。
ところで…
上棟式とはまったく関係ない話なのだが、裏話をひとつ。
(やっぱり工事現場好きとしては報告しておきたい。)
清め祓いの時、撮影のために
神職さんたちと一緒に1階へ向かった筆者。
そのとき、前回から「乗ってみたい」と言っていた
工事用エレベーターに乗ることができた…!感激。
無骨なオレンジ色のかごがかっこいい。
ガシャン!と入口が閉じられ、動き出す。

さすが和装には慣れておられる。スマートに乗り込む神職さんたち。
神職さんお二人と筆者、そしてエレベーターを操作する建設会社の方。
かごの中は詰め詰めの4人。
狭いかごの中で、筆者は
緊張と歓喜が入り混じる高揚感を、必死にこらえていた。
(とは言え、ちゃっかり撮影。動画も撮った。)
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上棟式でたくさんの祝福を受けて、さらに建築が進むこの物件は、
「Bellissimo継孝院」(ベリシモけいこういん)という名前。
(“Bellissimo”ってイタリア語で「最上級に美しい」という意味だそう)
完成予定の2026年3月に先んじて、入居者募集中!
詳細はぜひフラットエージェンシーのサイトでご覧ください。
上棟式の時に建築家の先生がモデルルームを用意してくれたので、
今回、工事中ながら実際のお部屋の写真を撮ることができた。
ここから見られるので、ぜひ!(1階のお部屋、2階も少し)
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残りの工事の安全を祈りつつ、完成がいよいよ楽しみ…!
完成したらまたトンガリコラムでご報告したい。
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